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定年退職した私は片田舎で妻と小さな弁当屋を営んでいる。
店の名は野花。派手さはないが懐かしい味だと評判の店である。
今日も常連のお婆さんが七草弁当を買いに来た。少しでも長生きしたいからと健康に気を使っているらしい。
七草の中でもホトケノザが一番好きなようだ。まだそこに行くには早いですよ。
ついでにとドクダミ茶も買って行く。これが鬼嫁と戦う秘訣だと話す。まだまだ長生きしそうだ。
ウチの弁当にケチをつける者にはアジュガの乗った釜飯を無料で提供している。
アジュガとは別名・地獄の釜の蓋と呼ばれているシソの一種だ。
意気揚々と釜の蓋を開ける不埒者。その顔色はどんどん青ざめ、綺麗に完食すると「これからは真面目になります」と反省を述べる。不埒者は何を見たんだろう?
昼を過ぎると私は妻とタンポポ珈琲を楽しむ。
そんな私達を理想の夫婦だと皆が言ってくれる。
なお、私のことを皆はダンディライオン店長と呼ぶ。
公開:19/05/30 18:45

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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