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「好き嫌いするんじゃないよ!」
そう言って、全身黒ずくめの魔女はペットの若い竜に昼食を差し出した。
「はーい。いただきます」
むしゃむしゃ、もぐもぐ。
「ごちそうさま!散歩に行ってくる!」
あっと言う間に昼食を平らげた竜は、ばさりと翼を広げ飛び立つ。家一軒をゆうに超える巨体がみるみると豆粒のようになり、空に吸い込まれて行った。

竜が散歩から帰ってくると家の前が騒がしい。剣を構え、革鎧を着た男が魔女と相対していた。
「またかぁ。お腹も空いたしちょうどいいや」
男の背後に降り立つと
「いただきます」
むしゃむしゃ、ごりごり。
男の装備ごとペロリと平らげた竜は魔女に向き直り
「好き嫌いしなかったよ、えらい?」
と胸を張った。
魔女は苦笑いしながら訂正する。
「あんたのは好き嫌いじゃなくて、悪食って言うんだよ」
ファンタジー
公開:19/05/30 12:37
更新:19/05/30 15:21

XC45yQVqBXGKJwk

下手の横好きですがよろしくお願いします

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