次はホームで

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守備が崩壊した。
ユウジと寝るつもりはなかった。
単純なパスがいくつかつながって、あっという間にゴールネットを揺らされてしまった。
ユウジが浴びるシャワーの音がスタジアムの大歓声に聴こえる。
ここはユウジの部屋。アウェイとはいえ私の地元でもある。
かつて好きだったという気持ちと、幼なじみだからという安心感が、私の足を止めた。
守備に重要なのは見極めだ。あの言葉。あの視線。思い返せば止められたゴールだ。
恋人にフラれたから。そんな言い訳はプロでは通用しない。いつかはヨーロッパで。その夢のために頑張ってきたのに私は何をしているのか。
なるべくしてなった、という感じもある。いつかはこうなる、そんな思いがこの得点を生んだ。
ユウジの言葉が私のスタジアムを駆け抜ける。
「ずっとめぇからおめぇのこと…」
その先は。その先を聞いてからでも遅くはなかった。
監督にはどう言えばいいのか。
0ー3。完敗の朝。
公開:19/05/30 10:25
更新:19/05/30 10:36

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