RED PERCOLATION #28

0
2

マジックショーもいよいよ大とりの出番。

出てきたのは、タキシードにシルクハット、白手袋で白ひげを撫ぜる、正に「ザ・マジシャン」。そのあまりに古典的な風貌に、逆に観客の期待は高まるばかり。

だが、その期待とは裏腹に、そのマジックは、服からハトを出し、ボールを消し、ステッキを花に変える、本当に古典的なものばかりだった。当然、技術的には凄い、が、観客はどこか肩透かしを喰らった気分。

そのままマジックショーは終演。

マジックショー終了後、控室。
手伝いが急いでマジシャンに近寄り衣服、竹馬、マジックハンド等を外す。

会場の何人が気付いたか。
このマジシャンは、数多の変装グッズを巧みに身に着け老人風に化けた、まだ3歳の子供だということに。

「会場のお客を騙し続けたまま会場の外へ送る」
この構想を思案した3歳の少年マジシャンは、数年後、マジック業界を席巻することになる。

【マジシャン】
その他
公開:19/05/29 21:03

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容