時の時計
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骨董屋で時計を買った。ねじまき式の腕時計だ。ショウウィンドウに飾ってあるそいつと目が合った瞬間、惚れてしまった。その日から私の左手にはその時計が巻かれていた。
ある朝、通勤電車の中。ねじを巻き忘れていることに気が付いた。左手はつり革を持っていた。時計のネジを巻くには、鞄を持った右手をそこまで上げないといけない。不審そうな周りの目を気にしつつ、ねじを巻こうとしたが手元が狂い、時針を1時間進めてしまった。
気が付いたら、会社の自席にいた。「あれ、小森さん、いつの間に」向かいの席にいるヤスダが目を丸くしている。壁にかかっている時計を見る。腕時計の時間と一致している。
今度は時計の針を戻してみた。
気が付いたら警察にいた。隣で女性が興奮気味に話している。「不自然な動きをしていたんです、絶対チカンです」
時計の針を動かした。
留置場の中だった。左腕を見た。時計は無かった。
ある朝、通勤電車の中。ねじを巻き忘れていることに気が付いた。左手はつり革を持っていた。時計のネジを巻くには、鞄を持った右手をそこまで上げないといけない。不審そうな周りの目を気にしつつ、ねじを巻こうとしたが手元が狂い、時針を1時間進めてしまった。
気が付いたら、会社の自席にいた。「あれ、小森さん、いつの間に」向かいの席にいるヤスダが目を丸くしている。壁にかかっている時計を見る。腕時計の時間と一致している。
今度は時計の針を戻してみた。
気が付いたら警察にいた。隣で女性が興奮気味に話している。「不自然な動きをしていたんです、絶対チカンです」
時計の針を動かした。
留置場の中だった。左腕を見た。時計は無かった。
その他
公開:19/05/27 18:52
更新:19/05/27 19:25
更新:19/05/27 19:25
文章を書くのが大好きです。
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