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フリーマーケットで私の隣に出店したのは年配の方だった。
今日はお客が少なく、お爺ちゃん子だった私はその方とずっと話していた。
「今日は話相手になってくれてありがとう。お礼にこれをあげるよ」
私は『祖の手』を貰った。孫の手なら知っているが祖の手?
孫の手より大きく、骨ばったそれは少なくとも背中をかく道具には見えない…
あの…これどうやって使うんですか?
「頭にそっと乗せるんだよ」
言われた通り乗せてみた。温かい祖の手から優しさが伝わってくる気がする…
お爺ちゃんとの思い出が蘇ってくる…
「使い方、分ったかい?」
はい。ありがとうございます。

って、事があったんだ。
「へぇ~。そうなんだ」
私の言葉に彼は上の空で返事を返す。
むっとした私は彼の頭に祖の手を乗せた。
彼は顔を上げると涙を流した。
「なぁ明日、俺の婆ちゃんに会ってくれないか?」
何?突然?
「お前と結婚するって報告に行くんだよ」
公開:19/05/27 18:31

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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