鰤男 四章 -鰓-
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「そう言われても困るよ。証拠はあるの。こんな夜中に急に呼び出されて空巣が入ったかもしれないと言われてもね」
大家は明らかに不機嫌そうな顔である。
「でも、確かに家具が移動しているんです。ここの椅子や机も私が家を出る時はここになかったんです」
静香は懸命に大家を説得した。しかし、大家の方は
「気のせいじゃない。そもそも、何か盗まれたの。例えば、通帳だとか、印鑑だとか、へそくりの現金だとか」
「いいえ、全てを調べた訳ではありませんが、特に盗まれた物は無いです」
「ほらやっぱり気のせいじゃないか。入口の鍵にもピッキングされた形跡は無い。窓ガラスを割って何者かが侵入した形跡も無い。盗まれた物もない。実害が無いのだから問題も無い。これにて一件落着。閉廷、お開き。そう言う訳で私は自宅へ帰ります。もう、こんな夜中に呼び出さないで下さいよ」
「すいません」
そう言って静香は謝罪したが納得はしていなかった。
大家は明らかに不機嫌そうな顔である。
「でも、確かに家具が移動しているんです。ここの椅子や机も私が家を出る時はここになかったんです」
静香は懸命に大家を説得した。しかし、大家の方は
「気のせいじゃない。そもそも、何か盗まれたの。例えば、通帳だとか、印鑑だとか、へそくりの現金だとか」
「いいえ、全てを調べた訳ではありませんが、特に盗まれた物は無いです」
「ほらやっぱり気のせいじゃないか。入口の鍵にもピッキングされた形跡は無い。窓ガラスを割って何者かが侵入した形跡も無い。盗まれた物もない。実害が無いのだから問題も無い。これにて一件落着。閉廷、お開き。そう言う訳で私は自宅へ帰ります。もう、こんな夜中に呼び出さないで下さいよ」
「すいません」
そう言って静香は謝罪したが納得はしていなかった。
公開:19/05/27 11:56
更新:19/05/27 12:00
更新:19/05/27 12:00
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