向日葵と太陽

7
7

裏庭に向日葵が咲きほこった夏。
君が向日葵の中で、太陽みたいに笑ってた夏。
「ねぇ‼︎とっても綺麗よ‼︎私まで黄色くなっちゃいそう‼︎」
興奮して子供みたいにはしゃぐ彼女が眩しくて、目を細めた夏。
美しく眩い、夏の裏庭。

君がいない夏。
僕がいる夏。
向日葵だけが変わらず裏庭に咲きほこる、夏。
見当たらない太陽を探して、向日葵たちが戸惑うように僕を見ている。
いや、気のせいなんだろう、もしくは希望のない願望か。
彼らの太陽は今年も変わらずギラギラと煩いほどに頭上で笑っているのだから。
「君達が羨ましいな。いや、違うか…憎いんだろうな、きっと。」
美しく彩られた庭には、向日葵も太陽も不可欠なのだ。
今や、ここはただの庭だ。
向日葵が太陽の光を受けてのびのびと咲く、ただの裏庭だった。

「…太陽はもういない。いなくなってしまったんだ。」
君が笑っていた夏が遠い。
恋愛
公開:19/05/28 13:03

mono

思いつくまま、気の向くまま。
自分の頭の中から文字がこぼれ落ちてしまわないように、キーボードを叩いて整理整頓するのです。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容