妹と私

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目の前に母がいて、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いていた。それが妹だった。誇らしい気持ちだった。
「わたしがお世話してあげる、何でも教えてあげる」
守ってあげるというよりも、自分が偉くなった気分でいた。
妹はわたしの言うことを何にも聞かなかった。予想しない時に寝て、おっぱいを飲んで、泣いた。でも可愛かった。
少し大きくなった妹は、わたしの後をついて回るようになった。でも、やっぱりわたしの言うことは大して聞かなかった。わたし達は一緒に遊んだ。
ある夕方、父が泣いていた。
「死にたい」と言ったらしい。
わたしは泣いた。もうわがまま言わないから、頑張るから、お父さんは頑張らなくていいから。死なないで。
5歳頃のことだ。
わたしは変わらず妹と遊んだ。面倒をみるという気持ちで。妹はのびのびとわがまま、一方わたしは我慢を始めていた。
私は妹が嫌いで、でも可愛くもあって。すっかり自分が嫌いになった。
その他
公開:19/05/28 12:47
更新:19/05/28 13:15

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