組織に声は届かない

7
7

「どうした仲町?目が沈んでいるぞ」
職場の先輩が顔を覗かせている。
事務所のフロアには、僕と先輩しかいなかった。
深夜の残業。
窓から見える、深い夜。
パソコンを操作する音が響いた。
先輩は向かいのデスクで何かしていた。
「先輩、何してるんです?」
キーボードを叩くのを止めた。
「紙ひこうき。退屈でさ」
席を離れ窓に向かった先輩。
開けて、持った紙飛行機を飛ばす。
「なに子供みたいなことやってるんすか」
僕はおかしかった。
先輩は、外の景色を眺めて言った。
「なあ、神様って信じるか?」
先輩は明るい性格だが、この時は暗かった。
心配する僕。
沈黙の後、
「俺は明日から会社を休む」
僕は何も言わなかった。
僕は止めていた手を動かし、画面を見る。
心が冷たく感じた。
それなのに、エアコンの冷気は止まらない。
暑さは無情。寒さは非情。
会社の方針には逆らえない。
辞表も許されないなんて。
その他
公開:19/05/28 11:53

小脇 進( 埼玉県 )

小脇 進と申します。
まだ小説も、ショートショートも書くのは初心者です。
※最近は詩作を中心に活動しています。

「分かってないなあコイツ」
と思っても、温かく見守っていて下さい。
よろしくお願いします。
                                                                               
2019年5月19日(日)17時55分頃より始めました。
以上です。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容