「鰤男」 十二章 -粗探し(アラサガシ)-

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「それを証言してくれる第三者、例えば、友人や知人はいますか。
勿論、肉親はNGです。口裏を合わせ、隠蔽する可能性がありますから」
「いません。私は一人でしたから。所属事務所の命令で自宅謹慎していたので。でも、私は一歩も家の外に出ていません」
「それを信じろと。何分、我々は人を疑うのが仕事でしてね。今のあなたの話を聞いた限りでは、あなたにはアリバイが無いと言わざるを得ないですね。」
「そんなぁ」
この時になり、静香は友人を多く作らなかった事を後悔した。
だが、それでも彼女は頭はフル回転させ、殺害時刻に私の無実を証明してくれそうな人物の特定を行っていた。
ピッカーン
「あっ、そうだわ。あの人なら私がアパートにいた事を証明してくれるかも」
「それはどなたですか」
刑事は前のめりになり、静香の話を真剣に聞く姿勢になった。
「鰤男さんです」
「はぁ~、鰤男?誰ですかそれは」
「彼は私のファンです」
公開:19/05/28 04:56

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