20世紀少女-3「忍者」

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夏の太陽で、それは鈍く光り輝いた。
先日、線路で潰した釘が8本。完全ハンドメイドの手裏剣だった。
「この4本づつって言うのがミソ。4は死に通じるのよ」
折からの、テレビの忍者番組ブーム。少年達の忍者ごっこは、ピークに達していた。
「そんなの投げたら危ないよ」
「あたり前田のクラッカー。初見さんも『手裏剣は、絶対に人に向かって投げるな!』って言ってたでしょ」
「傷害罪で捕まって、生涯棒に振るわ。これは、あくまでも『撹乱兵器』よ」
「・・・」
「ねぇヒョロ。私には『女の武器』があるじゃない」
「何だよ、それ?」
「右目でウインクよ。それで相手の忍者達は、イチコロよ!ほんとに好きな人には、左目でウインクするんだけどなぁ」
「手裏剣は、女の色気が効かない、硬派の忍者に使う。それと、隊長は私だかんね。男とか女じゃない『器」の問題だから」
「ウツワ?」
キョロは、左目で、僕にウインクした。
青春
公開:19/05/26 11:00
初見良昭さん はつみまさあきと読みます 千葉県野田市在住の本物の忍者 今年「米寿」を迎えます

渡辺 隆一( 千葉県野田市 )

千葉県野田市在住の、渡辺隆一です。
小学4年生の頃から、文章を書くのが
好きで、今も、趣味で書いています。
ショートショートが、好きです。

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