海が呼んでいる

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夏の海岸通り。
砂浜を見ると、早朝にも関わらず、
人が集まっていた。
「何かあるのですか?」
声をかけた。
「ああ、人が死んでるみたいなんだよ」
見ると、仰向けに倒れた男がいた。
パトカーから警官が出て来て、事情を聞いている。
救急車も到着し、男は運ばれていた。
翌日、新聞では身元不明の自殺者として、小さく載っていた。
何日かたって、砂浜を歩いていた。あの男が倒れていた場所で、ぐるぐる回っている亀がいた。
亀は背中の甲羅に小さな小箱を載せていた。
そして、海の方へ歩いていった亀は、波にさらわれて消えた。
跡には、サンゴの欠片が残っていた。
それを知ると海から
「こっちにおいで」
と呼ばれる声が聞こえてくる気がした。
僕は砂浜を離れる。
そして、さらわれないように生きようと強く思った。
夏は始まったばかり、
海岸の献花台には、一輪の花が。
空と海には、深い青がある。
その他
公開:19/05/26 09:23

小脇 進( 埼玉県 )

小脇 進と申します。
まだ小説も、ショートショートも書くのは初心者です。
※最近は詩作を中心に活動しています。

「分かってないなあコイツ」
と思っても、温かく見守っていて下さい。
よろしくお願いします。
                                                                               
2019年5月19日(日)17時55分頃より始めました。
以上です。

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