わらしべシステム
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「俺、漁師はもうやめることにしたわ」
飲み屋のカウンターで、幼馴染みの陽平が言うのに、俺はグラスを落としかけた。
「そんなこと言ったって、明日からどうすんのさ。別の仕事見つかってんの?」
陽平には家庭がある。そう簡単に決められるものでもないはずだ。
けれど陽平は俺の心配をよそに、へらへらと笑った。
「そこはほら、わらしべシステムよ」
「わらしべシステム?」
「そ。ちょうど昨日、魚屋のナベに声かけられて」
「で?」
「うん。ばくったのよ。まあ大丈夫だって」
陽平の言ったことは本当だった。
次の日から陽平は魚屋に、ナベは漁に出ていた。二人の仕事は順調らしく、周りもそれを受け入れているようだった。
それから数日。
漁帰りのナベと歩いていると、魚屋に大きな魚が立っていた。
「陽平!?」
「いや、これは鰹だろ。なあ陽平」
ナベが声をかけると、生け簀の小さな陽平が、挨拶とばかりにばしゃんと跳ねた。
飲み屋のカウンターで、幼馴染みの陽平が言うのに、俺はグラスを落としかけた。
「そんなこと言ったって、明日からどうすんのさ。別の仕事見つかってんの?」
陽平には家庭がある。そう簡単に決められるものでもないはずだ。
けれど陽平は俺の心配をよそに、へらへらと笑った。
「そこはほら、わらしべシステムよ」
「わらしべシステム?」
「そ。ちょうど昨日、魚屋のナベに声かけられて」
「で?」
「うん。ばくったのよ。まあ大丈夫だって」
陽平の言ったことは本当だった。
次の日から陽平は魚屋に、ナベは漁に出ていた。二人の仕事は順調らしく、周りもそれを受け入れているようだった。
それから数日。
漁帰りのナベと歩いていると、魚屋に大きな魚が立っていた。
「陽平!?」
「いや、これは鰹だろ。なあ陽平」
ナベが声をかけると、生け簀の小さな陽平が、挨拶とばかりにばしゃんと跳ねた。
その他
公開:19/05/26 08:14
スクー
わらしべマーメイド
ばくる=取り替える
高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。
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