222. ことばサーカス

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地下のとあるバーでイベントが開催されると知った私は、青い服に身を包み、その会場へ向かった。
入り口では合言葉を求められた。
「川に合う出汁といえば?」
暫くの間考え、おそる、おそる、
「あご」
と答えた。
「いいですねぇ!」
その言葉と共に扉は開かれた──。

極彩色で満たされたそこはサーカス会場のようで、軽快な音楽がリズムを刻み、綱渡りするヒトや玉乗りするゾウの代わりに観客の投げた言葉がふわふわと楽しげに浮いていた。

空中にブランコブランコしているそれを、団長が嬉々として捕まえては即興でお話を作り、それを横にいる女性がアクロバットの如く均整の取れた美しい声色で、読み上げ笑っている──。

「こ、これは?」
「我々はことばを投げ合い操っています」
「私は…何か出来るのでしょうか…」
そう言うと、団長はこちらを見て
「ただ、貴方なりに楽しめばいいんですよ」
と眼鏡の奥の瞳を煌めかせた──。
ファンタジー
公開:19/05/25 12:00
更新:19/05/25 14:57
5/22新生活イベント とても楽しかったです♪ それを意識して書きました! どうもありがとうございました(*^^*) あごとは飛び魚のこと 九州ではメジャーな出汁です。

ことのは もも。( 日本 関西 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていこうと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

カントー地方在住
 

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