わがまま娘、どんぶらこ

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「なんで言うこと聞けないの!」
もうウンザリ。ママの子供になんて産まれてこなきゃよかった。
「ママなんて大嫌い!」
「桃子なんか拾わなきゃよかった」
そう言って、ママが「あっ」と口を塞いだ。
「拾った?私はママの子供じゃないの?」
ママは観念したように小さく頷いた。
「5年前、パパと川に釣りに行った時、大きな桃がどんぶらこと流れてきてね。その中に赤ちゃんが入ってたの」
「うそ…」
ママはそんな私を今まで育ててくれたの?
私はママに抱きついて大声で泣いた。
「ごめんなさいママ!もうワガママ言わない。だから私を捨てないで!」
「どうしようかな〜」
「やだ!私、ママと一緒がいい!」
「じゃあ、ちゃんと言う事聞く?」
「うん」
「よし。じゃあ許す」
「ママ、さっきの話本当?」
「うそ」
「なんだ、よかった。私は桃から産まれたんじゃ…」
「一緒に行ったのはパパとは別の人だったのよ」
「え、そっち?」
ファンタジー
公開:19/05/26 23:47
スクー わがまま娘、どんぶらこ

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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