ファインディング人魚

10
8

漁師の男がいた。
ある日、男の船が嵐で転覆した。
意識を失い浜に流れ着いた男の手には虹色の鱗があった。溺れる寸前に見た人魚の顔が目に焼きついていた。男は鱗に紐を通して首に下げ、自分を助けた人魚にもう一度会いたいと願った。しかし、幾度漁に出ても人魚に会う事はなかった。
ある日、美しい鱗の噂を聞きつけた商人が、鱗を買いたいとやってきた。男は大金に目がくらみ鱗を手放した。
その翌日、今度は呪い師が鱗を買いたいとやってきた。
「もう売ってしまった」
「それは残念だ。では自分で取りに行くか」
「どういう事だ?」
「呪いに人魚の鱗が必要でな。体の半分を魚に変える薬を使い海に潜って取ってくるのさ」
「金は出す。その薬を売ってくれ!」
男は大金を払い薬を手に入れた。薬を飲んで海に潜ると、男の半身は魚へと変化し、やがて海に消えた。

それ以来、胸ビラをはためかせて、ばた足で泳ぐ半身半魚の男を見た者はいない。
ファンタジー
公開:19/05/26 18:36
スクー わらしべマーメイド

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容