未来が見えるメガネ

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「素敵なメガネですね」
研究室の同僚に言われ、ヨーコさんは笑った。

これは実は“未来が見えるメガネ”だった。
彼女は、実験のためにこれを掛けている。

押上博士の試作品で、見る風景の20年後の景色が見られる。
準備段階があり、まず見た風景を保存し、簡単な感想コメントを記録する。

視力は悪くないヨーコさんだが、約一週間、ときどきこれを掛けて過ごした。

週の終わり、彼女はメガネに保存した画像と言葉を提出した。
博士はそれを分析し、メガネにインプットした。

次の週。メガネをまた掛けた彼女は、上の階に続く非常階段の扉を開けた。

「うわっ」
扉の外は、何もない空中。彼女は、魔女のように宙に立っていた。

慌てて室内に戻り、博士に告げる。

博士は笑って言った。
「つまり、それが未来なんだ。20年後には、外の階段は取り外されている。老朽化かな。さっきは、景色だけが未来になったんだ」
SF
公開:19/05/26 13:04
押上博士

tamaonion( 千葉 )

雑貨関連の仕事をしています。こだわりの生活雑貨、インテリア小物やおもしろステーショナリー、和めるガラクタなどが好きです。

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