わらしべにんぎょ
18
13
人魚姫は王子様のいる部屋に入れず、心臓を奪うことができませんでした。
「消えてたまるかー!」
悔しさのあまり渾身の力を振り絞ると、失ったはずの声が戻りました。
ナイフを持ったまま途方にくれていると、厨房で切れ味の悪い包丁を使う料理人がいました。
「よかったらこのナイフ使いませんか?」
「おお。こいつは良いや。お礼にシャンパンでも飲むかい?」
お酒が飲めない人魚姫はグラスを持ったまま、甲板にいた女性に声をかけました。
「頂きものですが、よかったら…」
女性は大喜びし、つけていた髪留めを人魚姫にあげました。
人魚姫は髪留めを使い、部屋の鍵を器用にこじ開け、王子様を叩き起こしました。
「あなたを助けたのは私なの」
寝ぼけ眼の王子様は、人魚姫の頭にポンと手を置きました。
「君は一生、僕の大切な妹だよ」
人魚姫の瞳からは、大粒の涙が流れ落ち、やがて、自らの涙の中に溶けて消えてしまいました。
「消えてたまるかー!」
悔しさのあまり渾身の力を振り絞ると、失ったはずの声が戻りました。
ナイフを持ったまま途方にくれていると、厨房で切れ味の悪い包丁を使う料理人がいました。
「よかったらこのナイフ使いませんか?」
「おお。こいつは良いや。お礼にシャンパンでも飲むかい?」
お酒が飲めない人魚姫はグラスを持ったまま、甲板にいた女性に声をかけました。
「頂きものですが、よかったら…」
女性は大喜びし、つけていた髪留めを人魚姫にあげました。
人魚姫は髪留めを使い、部屋の鍵を器用にこじ開け、王子様を叩き起こしました。
「あなたを助けたのは私なの」
寝ぼけ眼の王子様は、人魚姫の頭にポンと手を置きました。
「君は一生、僕の大切な妹だよ」
人魚姫の瞳からは、大粒の涙が流れ落ち、やがて、自らの涙の中に溶けて消えてしまいました。
その他
公開:19/05/24 02:13
スクー
わらしべマーメイド
北海道出身です。
ログインするとコメントを投稿できます