ちいさなsos

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小学6年のある日、突然、私の声はクラスの誰にも届かなくなった。代わりに、冷たい視線が突き刺さり、耳を塞いでも悪口は聞こえてきた。
苦しくて、悲しくて。
“お願い、先生。気づいて”
って、何度も願ったけど、担任は気づいてはくれなかった。いや、気づかないふりをしていたのかもしれない。
私のsosは届かなかった。
学校も教師も大嫌いになった。


中学1年のとき、担任だったK先生は違った。K先生は言った。
「sは、ひとりぼっちの悲しみや痛みを知っているから、sのような子を救える存在になれるね」
あのとき、気づいて欲しかったsosに、K先生は気づいてくれたのだ。

それからの私の夢は、K先生のように、痛みや悲しみを抱く子のそばにいられる存在になること。



知ってほしい。気づいてほしい。
教室の片隅で、ちいさくsosと呟く声があることに。ひとりで悲しみと向き合う存在に。
その他
公開:19/05/23 22:29
更新:19/05/30 23:01
ちいさなsos 素直な私の気持ち K先生へ

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人1年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



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