ドスえもん　その２

「ドスえも～ん！」
「どうした、のぶん太」
「SS組の田丸組長のタマ取って来いって言われちまってよ。なんとかならねえかな」
「しょうがねえな。毒リンゴ～！　こいつを食わせりゃイチコロよ」
「でもどうやって食わせたら」
「この毒リンゴにありえない言葉を組み合わせて、不思議な単語を作るんだ。そうすりゃ、バッチリ食いついてくるって寸法よ」
「なるほど。『ぶつけると痛い毒リンゴ』とか、そんな感じだな」
「お、おう」
「よし、行ってくるぜ！」
そしてそのまま帰ってこなかった。
しばらくして、今頃東京湾の底だろうな、と諦めていたドスえもんのもとに、一通のメールが届いた。
「のぶん太！？」
そこには、田丸組長とのぶん太が腕を組んでいる写真と、「僕たち結婚しました」の文字が。
「どういうことだ。何々、毒リンゴでイチコロでした……」
……。
まああれだ、幸せになれよ。
グラサン越しの景色が、微かに滲んだ。