おいでよ!

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夜の帳が下りたあと、闇から誘う声からする。
おいでよ!一緒に遊ぼうよ。
子どもの頃から誰かいた。決まって夜に、貴方は私に声かける。
ママが駄目って私に言うの。
そう言っても毎日、貴方は声だけやってくる。
おいでよ!なにも怖いことはないよ。意地悪なんてどこにもいない。
教室の夕暮れの、影に紛れてついてくる。意地悪がいないのは素敵だな。
でも、先生が駄目って私に言うの。
それでも声は優しく続ける。
おいで。悪いようにはしないよ。誰も君を傷つけない。助けてあげる、こっちにおいで。
声は私の側にいるようになっていた。優しく、甘い声。上司が駄目って言うから、旦那が駄目って言うから……。
だけど、もうそろそろいいかしら?
「駄目に決まっているじゃない」
私は自分を殴りつける。助かろうなんて、楽になろうなんて。
「楽なことじゃない。でも鎖は切らなきゃ。君が君を守ってあげなきゃ」
悪魔が、彼が、囁いた。
その他
公開:19/05/24 20:49
悪魔は誰だ

風月堂( 札幌 )

400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。

無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz

『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。

写真は全て自前でやっています(笑)

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