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やっとの事で靴を脱ぐことが出来た。
「もうこんな靴いらないわ!」
ちょうど近くにあった泉の中へ石っころを詰めて投げ込んだ。
ぷくぷくとあぶくを出しながら靴は沈んで行った。
草の上の裸足の足を見た。
このままで家まで帰れるんだろうか。
「まあ、いいわ。なんとかなるでしょ」
歩き始めると後ろから声が聞こえた。
「あなたが落としたのはこの金の靴ですか、それとも銀の靴ですか」
泉の上には美しい女神が微笑み、二足の靴を抱えていた。
「いえ、わたしの靴はどちらでもありません」
「それではこの赤い靴ですか?」
「あ、いえ、そ、その靴もわたしのではありません」
「なぜあなたは嘘をつくのですか?あなたがこれを投げ込むのを見ていたのですよ。ちゃんとお履きなさい!」
女神が靴を放り投げるとわたしの足に収まり、前よりしっかりとフイットした。
わたしはまた踊り始めた。
踊りたくないのに一生踊り続けなければいけない。
ファンタジー
公開:19/05/24 11:18
金の斧・銀の斧 赤い靴 イソップ アンデルセン

家韮真実(いえにら・まみ)( 兵庫県 )

もともとは漫画を描いていました。
漫画のアイデアを文字で書いているうちにショートショートも書くようになったんですよね。
名前はもちろんペンネーム。
実際にはない名字を考えました。
読みは、男の子気分の時は『いえにら・まさみ』
女の子気分の時は『いえにら・まみ』に変わります(笑)

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