宿りの実

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いつも、その並びに彼女がいた。
一列に並んだ所に、この公園には
勿体なかった。
いつも気をつけのポーズでいた。
台風が過ぎた日。
僕は彼女の前に倒れた。
夕日が見える。
「君の髪、揺れると綺麗だね」
「僕かい?僕はもう駄目だ」
立ち続ける彼女の前で、
ずっと語り続けた。
3日後、僕は大型のトレーラーの荷台に載せられた。
人間という奴は、自然に朽ち果ててくのを待てないようだ。
むしろ、それを嫌う。
「君にこれを渡すよ」
僕は、風とその仲間の蟻達に、
彼女の足元へ届けてもらった。
生きてきたことは良かったよ。
ありがとう。
この公園で、君と見守っていてくれ。それじゃあね。バイバイ。
そして、いなくなってから
星の樹になった僕は、
語り継がれていったそうだ。
宿り木はそっと、君を守って
いつまでも、
仲間の下で見ているだろう。
ファンタジー
公開:19/05/24 09:48

小脇 進( 埼玉県 )

小脇 進と申します。
まだ小説も、ショートショートも書くのは初心者です。
※最近は詩作を中心に活動しています。

「分かってないなあコイツ」
と思っても、温かく見守っていて下さい。
よろしくお願いします。
                                                                               
2019年5月19日(日)17時55分頃より始めました。
以上です。

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