髪の祈り
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13の年が来ると、私達は機をおる。
それまで伸ばしてきた髪に鋏を入れ、その髪に祈りを込めて機を織る。そうして出来たものを皆に見せ、初めて一族の子供は成人とみなされるのだ。
ミーシャが13となるまであと1日。日の光に透けるような金糸に、幾房か鬼灯色の赤毛が混じった髪が、ミーシャの自慢だった。
一族は皆、美しい黄金色。ミーシャの赤毛は、流れ者である父から譲り受けたものだ。
「ミーシャ、そろそろ何を織るか決まったかい?」
狩りから帰ってきた父の頭には、赤毛を隠すように包む美しい金糸の布が一枚。母が13歳で織った形見だ。
13歳の織物は、その人自身を表す特別なものなのだ。
「えぇ。とびっきりのを織ってみせるわ」
13歳の朝。ミーシャは一人、いつの間にか用意されていた研ぎたての鋏を握った。
透きとおる金に、暖かみのある鬼灯色の赤、2つの温もりが混ざりあった素敵な布を織ろう。
私の自慢の髪なのだ。
それまで伸ばしてきた髪に鋏を入れ、その髪に祈りを込めて機を織る。そうして出来たものを皆に見せ、初めて一族の子供は成人とみなされるのだ。
ミーシャが13となるまであと1日。日の光に透けるような金糸に、幾房か鬼灯色の赤毛が混じった髪が、ミーシャの自慢だった。
一族は皆、美しい黄金色。ミーシャの赤毛は、流れ者である父から譲り受けたものだ。
「ミーシャ、そろそろ何を織るか決まったかい?」
狩りから帰ってきた父の頭には、赤毛を隠すように包む美しい金糸の布が一枚。母が13歳で織った形見だ。
13歳の織物は、その人自身を表す特別なものなのだ。
「えぇ。とびっきりのを織ってみせるわ」
13歳の朝。ミーシャは一人、いつの間にか用意されていた研ぎたての鋏を握った。
透きとおる金に、暖かみのある鬼灯色の赤、2つの温もりが混ざりあった素敵な布を織ろう。
私の自慢の髪なのだ。
ファンタジー
公開:19/05/24 02:33
思いつくまま、気の向くまま。
自分の頭の中から文字がこぼれ落ちてしまわないように、キーボードを叩いて整理整頓するのです。
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