「エリザの独白と黙考」20の職業　⑳インフルエンサー

エリザはいつもエリザの真実を述べていた。
初めは誰もいなかった。
一人、また一人と、エリザに賛同する者が現れた。

エリザはいつもエリザの真実を述べていた。
エリザの真似をする者が現れた。
エリザの信者は、エリザを真似する者を批判した。
エリザを批判する者が現れた。
エリザの信者は、エリザを批判する者を批判した。
エリザを訴訟する者も現れた。
エリザの信者は、誰も助けてはくれない。

エリザはいつもエリザの真実を述べていた。
エリザ以外のインフルエンサーは増え、エリザに同調する者は減った。
一人、また一人と、エリザのまわりから離れていった。

エリザのスタンスは最初から何も変わらない。
まわりに誰かがいようと、エリザは孤独だった。
まわりに誰もがいなくなって、エリザは孤独だった。
エリザはいつもエリザの真実を述べていた。

「ザンダーが隣にいてくれれば、それでいい」

エリザは本を閉じた。