Pizza Are Alright!

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いじめっ子の大ちゃんが私の粘土工作を床に叩きつけた時、私は世界一のピッツア職人になると決めた。
保育園の頃だ。
私はその日から泣くのをやめ、ひたすら粘土をこねた。みんなは冷めたピザみたいな目。
「貸しな」
大ちゃんだけが、生地作りを手伝ってくれた。
赤い絵具のトマトソース、葉っぱのバジル、細切りの紙チーズ。マルデリータって呼んでたっけ。
小学生になると、大ちゃんはバットではなく麺棒を持って、うちに来た。
中学の修学旅行の写真、私と大ちゃんの手には…はいチーズ!
高校生になって、同級生はピザのデリバリー、私たちはピカデリーでバイト。そのお金で石窯を作った。

色々とあったけど、すべては今日の世界大会のため。
自慢のマルゲリータで勝負!
名前を呼ばれた瞬間、同じ窯のピッツアを食べた私たちは抱き合った。
そして、大ちゃんは輪切りのオリーブの指輪をくれた。
「オイルまで俺とピッツアを作って下さい」
青春
公開:19/05/22 02:15
101作目のプロポーズ

そるとばたあ( 神奈川 )

★そるとばたあの400字SSは、ことば遊びと文章のリズムにこだわり、音を体感できる物語がコンセプトです!

★第19回坊っちゃん文学賞大賞『ジャイアントキリン群』

★2025年12月、2冊同時刊行の電子書籍
『3分間のまどろみ カプセルストーリー』(Gakken)に『恐竜バーガー』寄稿。

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の選択』、六文字の返信ほか)
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ショートショートの可能性と豊かさが詰まったアンソロジーですのでぜひ!
 

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