芽、出たし

7
9

毒リンゴになるのにも才能が必要なのだ。
僕は立派な毒リンゴになるために修行中。
色は濃い赤が好ましい。ただ赤いだけでは駄目だ。まるで生き物の血液のような赤。一目見て、身震いしてしまいそうなくらいがいい。
形はまんまる。ひょろ長いと、そもそも食べようと思ってもらえない。
人間からすると、
「おいしそうではない!」らしい。
どんな樹に生っているかも大切だ。何というか、こう、禍々しい樹。いかにも、魔女が好みそうな樹形をしたやつ。

この樹に生ってからずいぶん経った。
けれど未だに僕は、毒リンゴになる才能の芽が出ない。

樹からの栄養をいっぱい吸い取って頑張っているのに。
……おや? あれは。
「あらあら。これは毒リンゴにちょうどいい果実だね。もいでいこうか」
やった、魔女だ! ついに僕も毒リンゴの仲間入りを果たせる!

こうして彼は、毒リンゴになる才能の芽が出たのでした。

めでたし、めでたし。
ファンタジー
公開:19/05/22 22:40
スク― めでたし毒リンゴ

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容