恐竜異端裁判

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ティラノサウルスに関する新説を発表した博士はたちまち裁判にかけられ被告席に立たされた。

「ティラノの歯が白亜紀の植物を切り刻んでエキスを吸うためのものである証拠を発見した。ティラノは草食系恐竜だ!」
傍聴席はどよめいた。恐竜の玩具を手に持った男の子が声をあげた。
「じゃあティラノはトリケラトプスと戦わないの?」
博士は優しく返した。
「そうだよ、坊や。ティラノはね、ヨチヨチ歩いてお花の蜜をチュウチュウ吸うだけのとっても優しい恐竜だったんだよ」
男の子は泣き出し、検察官は声を荒げた。
「異議あり!この男の主張は世界中の子供達を悲しませ、恐竜の映画や本、玩具に関わる企業の経済活動にも悪影響を与えるものです!」

裁判の結果、博士は無罪と引き換えに新説を破棄し、今後は知名度の低い恐竜のみ研究するという誓約をさせられた。

最後に博士は天を仰いだ。
『それでもティラノサウルスは草を食べている!』
SF
公開:19/05/22 17:41
更新:19/05/22 18:30

よしお

400文字に収めるのに四苦八苦していますが、いろいろなジャンルにチャレンジしたいです。

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