RED PERCOLATION #13

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夜中に幽霊に起こされた。
僕は一人暮らしだし、なのに目の前に人いるし、その人は透けているし、足もない。僕は幽霊と認定。

ただその姿は、白ランニング、ステテコ姿の完璧なオッサンだった。世の中は広い。

「兄ちゃん、あんな?」
オッサン幽霊は関西の訛りで僕に尋ねる。
「ふぁい?」まだ寝ぼけている僕。
「あんな兄ちゃん、分数の割り算、分かる?」
そう言いながらオッサンは、手元のノートを見せてくれた。お、確かに分数の計算式が多数。奮闘したのだろう。

僕は小学校教師。ちょうど良かったので、オッサンに教えてあげた。分数の割り算を。

「あぁ、そういうことやってん」
オッサンの納得。
「助かったわ、あんがと」
そう言いながら消えていくオッサン。

ここから得られる幾つかの教訓。

・幽霊はいる
・関西弁を話すオッサンの幽霊もいる
・幽霊といえども、分数の割り算は理解まで多少ハードルが高い

【幽霊】
その他
公開:19/05/20 20:19

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