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高橋が怪我で離脱して、優勝がドラゴンズに決まった。消化試合のスワローズとの最終戦。先発は上原だった。僕は上原が嫌いだ。不細工だし、速球も松坂より遅い。何より嫌いなのは、序盤から汗だくで疲れた顔しながら、しれっと完投勝利する所だ。疲れたフリをするズルい奴。それが上原だった。
それに、秋のリトルリーグで僕が貰った背番号が上原と同じ19番だった。投手の控えの控え。結局、僕の出番は代打1打席だけだった。
7回裏。ペタジーニの3打席目。敬遠の指示が出た。松井がホームラン王を獲るためにペタジーニに打たれては困るからだ。勝負をしたかった上原はマウンドで泣いた。涙を拭って外角に外れる球を全力で投げて、四球の後、悔しそうにマウンドを蹴りつけた。
かっこよかった。背番号19が眩しく見えた。
上原が僕のヒーローになった瞬間だった。

よし。
来年は必ずレギュラーだ。
僕の雑草魂を。
泣くほどの本気を見せてやる!
青春
公開:19/05/20 19:38
上原浩治

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ショートショートって難しい。
最初の頃は400字は短すぎるなんて思ってましたが、色々書くうちに400字に無限の可能性を感じるようになりました。

読んだ人の心が少しでも動いたらいいな。何かを感じてくれたらいいなと思って書いてます。

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