鐘の音

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大時計の鐘が鳴る。
街行く人達は、市場での買い物や、仲間との談話を終え、方々へ帰っていく・・・

疑り深い老人は、広間の噴水の縁に腰掛け、その場に留まる。

「あれは、現在の時刻を知らせる鐘の音ではないであろう。街行く人々は、予め、時計に細工してあった嘘偽りの音を勘違いしておる」

老人は、夕刻を過ぎても、まだ、広間に佇んだ。

そのうち、木々には、夜の鳥や虫たちのオーケストラが奏で始める・・・

老人は、いくら、その場に滞留しても、結局、鐘の音はきこえませんでした。
その他
公開:19/08/09 01:33

神代博志( グスク )









 

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