ヒマ潰し
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「つまんなかったね」
映画館を出ると、彼女はそう言いながら、振り向いた。
彼女が手を伸ばすと、遠近法を利用したトリックアートのように両手の中に映画館が収まった。
「もう、いらない」
彼女が手を動かすと映画館はくるっと丸められて、小さな塊になってしまった。
手品?
あっけにとられて見ていると、彼女はそのまま、ポイッと捨てようとした。
「待って、捨てるのはひどくない? また、面白い映画をやるかもしれないし」
慌てて止めると、彼女は丸めた映画館をジーンズのポケットに突っ込んだ。
映画館があった場所は空っぽになっている。
手品じゃない。
「元に戻した方がいいよ」
彼女の力に不安を感じながら、虚勢を張った。
彼女は顔をしかめた。
「面倒くさいなあ。ヒマ潰しにもならない」
そう言って、彼女は僕を丸めると、ポケットに突っ込んだ。
僕の頭に映画館が当たった。
映画館を出ると、彼女はそう言いながら、振り向いた。
彼女が手を伸ばすと、遠近法を利用したトリックアートのように両手の中に映画館が収まった。
「もう、いらない」
彼女が手を動かすと映画館はくるっと丸められて、小さな塊になってしまった。
手品?
あっけにとられて見ていると、彼女はそのまま、ポイッと捨てようとした。
「待って、捨てるのはひどくない? また、面白い映画をやるかもしれないし」
慌てて止めると、彼女は丸めた映画館をジーンズのポケットに突っ込んだ。
映画館があった場所は空っぽになっている。
手品じゃない。
「元に戻した方がいいよ」
彼女の力に不安を感じながら、虚勢を張った。
彼女は顔をしかめた。
「面倒くさいなあ。ヒマ潰しにもならない」
そう言って、彼女は僕を丸めると、ポケットに突っ込んだ。
僕の頭に映画館が当たった。
その他
公開:19/08/09 00:00
パピプペポ川柳
名作絵画ショートショートコンテストで「復元師」が太田忠司賞を受賞しました。
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「ショートショートの花束」8と9にものっていますので、よろしく。
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