家守

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夏の夜、窓の外に、白い腹をぺたりと付けている。
集光性の獲物を求めて来るので、光源が少ないと、一つの窓に数匹いたりする。
各々良い位置を確保しようと、たまに喧嘩になる。追い追われ、突き突かれ、なかなか激しい。気の荒い時は、細い声で鳴いたりもする。喧嘩に負けた奴は、尻尾が短くなる事が多く、再生しても元の形に戻らない。無傷の長い尻尾を見ると、風格を感じる。
狩りは主に待ち伏せ。獲物が警戒を解くまで、離れて構える。そして、そろりそろり近付き、最後は走る。走る前に尻尾を振るので判り易い。
走るのは早いが、動きが大きい。獲物によく逃げられる。逃げられた後、頭と尻尾がしゅんとしょげる。
上手く確保すると、尻尾を振り振り食べる。犬が喜ぶ様に似ている。
今日は成功したらしい。尖った顎に、羽の生えた黒い影。
正体は判らないが、中に入ると害のあるモノだ。あれを取って家を守るから、『家守』と呼ばれるのだそうだ。
その他
公開:19/08/08 23:47
実録(風)ヤモリレポート

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

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