赤い糸の向こう側 #2

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またか。
私は下駄箱の手紙を素早く学生鞄の中に入れ、溜息をついた。
今月でもう3枚目だ。ラブレターだけじゃない、この間は家にピンポンダッシュされた。ママとは3ヶ月前位から殆ど口を利いてないけど、あの時はママがいてくれて安心したかな。
私の好きな人はもう決まっている。サッカー部のゴールキーパーの上野くんだ。彼の赤いビブスがグラウンドで光っている間、私は下校時間を過ぎても彼を目で追っている。

ある日、彼から屋上に呼び出された。
「ここじゃできない話だから。」
もしかして告白…?
私はニヤけるのを抑えて了承した。

屋上に着くと、彼の後ろ姿が振り返った。
「話って…何?」
彼は口を開きかけたまま黙った。
「何?どうしたの?」
早く告白の言葉が聞きたくて彼を急かす。
…すると突然彼がフェンスを乗り越え飛び降りた。
「上野クンッ!!!」

私の顔に数粒、風に吹かれたピラサンカの実がぶつかった。
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公開:19/08/08 21:29
更新:22/03/07 13:54
創樹さんのコメントを参考に 赤い糸の向こう側シリーズ

北瓜 彪

ショートショート講座(2019年7〜9月期)にも参加
しました。
皆様宜しくお願いしますm(_ _)m

※アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/664452356
でも活動しています。SS講座で提出した作品「ファンフラワーに関する見聞」「大自然」もそちらで公開しております。
 

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