扉を開くと・食べる

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扉を開くと、さらに扉が2枚あった。
その隣には執事のような人物。山羊の頭蓋骨で顔の上半分を覆っている。
「この2枚の扉は、たべられる扉でございます。ささ、お客様のお好きな方を選んでください」
たべられる扉。童話『ヘンゼルとグレーテル』の、お菓子の家を連想した。
片方のノブに手をかける。

ぐわっ

一瞬のことだった。気付いたら扉に食べられてしまっていた。
たべられる扉。そういう意味だったのか。
けれど僕、生きているな。何でだろう。
ふり返ると、自分をのみ込んだと思われる扉。何とか出たいが、扉には鍵がかかっているようだ。

食べられてこの部屋に入り込んだのだから、今度は扉を食べ返したらどうだろう。
ぱくり。うん、なかなかうまい。

気付いたら完食していた。扉の呪縛からも解き放たれ、元の場所に戻ってきた。
よかったよかった。

そう思いながらさすったお腹は、蝶番が軋むように、ぎいぃと鳴った。
ファンタジー
公開:19/08/07 13:40
更新:19/08/27 22:06
#扉を開くと

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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