思い出織職人
18
14
綺麗な織物でしょう。これは祖父です。こちらは妹。私たちは、『縁の思い出』を糸にして取り出します。相手の掌に墨を落とすと、そこからたちまち綿花が育ち、綿を落とします。頼まれる方は様々です。恋慕を忘れたい方、怨恨を忘れたい方、ご自身をお忘れに来た方もいらっしゃいます。私たちはそれを一枚ずつ手作業で織り上げてまいりました。図面を引き、古い機織りで織り上げます。人の心ですから機械で均一には扱えません。指で紡ぎ、手作業で時間をかけます。そうしてできた糸と織物は、心の色に染められた見事な一枚になります。大体の方はお忍びでいらっしゃいますから、売り物にも見世物にもいたしません。取りに戻られる方は稀ですが、お預かりした『ご縁』は全て大事に保管させていただきます。あるべき場所に戻る『ご縁』は、喜びで虹色を帯びた白い光を放ちます。その場に立ち会うことが出来ましたら、織り手としても喜ばしいことですから。
ファンタジー
公開:19/08/07 10:52
更新:20/10/12 13:53
更新:20/10/12 13:53
豊田
紡織
幻想動物見聞録
『思い出織職人』
佐一の場合
縁コンテストの為一部改変
400文字の面白さに惹かれて始めました!
文字や詩のようなものを書くのが趣味です。
情緒不安定気味でアゲサゲ落差のひどい人間ですw
いろんな方々の作品を読んで、心を豊かにしていきたいです。
無料の電子書籍をつくりました。
『ショートショート作品集カプセルホテル【】SPACE』
a.co/1VIyjHz
『枇杷の独り言』
ショートショートコンテスト『家族』最優秀賞頂きました。
写真は全て自前でやっています(笑)
こちらで写真を紹介、ハガキにと販売しております!
https://minne.com/@sakoyama0705 - ハンドメイドマーケットminne(ミンネ)
ログインするとコメントを投稿できます