速度制限おせっかい(彼氏視点)

1
6

彼女に夕食を作った。今日は彼女の誕生日だ。
「せっかく作ったんだから、たくさん食べてくれよ」
彼女と僕の席に、それぞれ料理を並べる。
「付き合い始めて最初の誕生日のこと、憶えてる? 二人で夕飯作ってさ、一緒に食べたよな」
声は帰ってこない。
「……楽しかったな」
涙が溢れてきた。
「俺があの日、もう少し早く着いていれば……っ」
感情を抑え込むように、ご飯をかき込む。こんなことしたら彼女に叱られるだろうか。

僕の彼女は一年前に交通事故で亡くなった。
急いで駆け付けたかったのに、病院までの道は渋滞で、間に合わなかった。

こんな風に料理を用意するのも、悔しさを紛らわせるためで、彼女からすればきっとおせっかいなんだろう。

けれど。
出来るならもう一度会いたい。せめて、声だけでも聴きたい。
もう一度だけ、話したい。

ありがとう

はっとして、辺りを見回す。
彼女の声が聴こえたような気がした。
恋愛
公開:19/08/08 19:42
スク― 速度制限おせっかい

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容