速度制限おせっかい(彼女視点)

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彼が夕食を作ってくれた。今日は私の誕生日なのだ。
「せっかく作ったんだから、たくさん食べてくれよ」
彼は優しく微笑んで言う。
「うん、ありがとう」
「付き合い始めて最初の誕生日のこと、憶えてる?」
「もちろん、覚えてるよ」
「二人で夕食作ってさ、一緒に食べたよな」
「そう、作りすぎちゃって。お腹いっぱいになっちゃったよ」

「……楽しかったな」
彼は、俯いて涙を零した。
「俺があの日、もう少し早く着いていれば……っ」
ごはんを一気にかき込み始める。
「そんなに急に食べたら体に悪いよ」
おせっかいなのは承知の上で私は言った。
その声が聞こえたように、食べる速度を抑えた。涙をこらえ、ゆっくり食べ始める。

私は一年前、交通事故で死んだ。彼は急いで駆け付けようとしてくれたけど、道路が渋滞で病院に着く前に私は息を引き取った。

もう一度だけ、話したい。
「ありがとう」
せめて、この思いを届けたい。
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公開:19/08/08 19:22
スク― 速度制限おせっかい

たけなが


たくさん物語が作れるよう、精進します。
よろしくお願いします!

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