つまようじ行列

4
12

私のクラスでも人気の彼は、いつも女の子に囲まれている。
バレンタインともなれば、行列ができる。
緊張した面持ちの女の子たちは、ガチガチに固まって順番を一列に待っている。

女の子は、彼に次々とチョコを渡していく。
私はその様子を見ていて、つまらないな、というのが正直な感想だった。

昼休みに食べたコンビニ弁当についていた割り箸には、つまようじが付いていた。
女子の私がつまようじを使用するのには、やや抵抗がある。
私は、彼につまようじをあげることにした。
きっと、チョコレートが歯にこびり付いて、口中がモゴモゴとしていることだろう。

私は結果的に彼を待つ行列に並ぶことになった。
特別な感情は無い。
利便性を与えたかっただけだった。
三人、二人、一人。
私の前の女の子が次々と去っていく。
彼は、工場のライン作業のように私のプレゼントを受け取ってくれた。

ちょっとした気遣いって、大事なんだね。
恋愛
公開:19/08/08 04:25
スクー つまようじ行列

undoodnu( カントー地方 )

構成の凝った作品が好きです。
雑絡みOK!

電子書籍発売中:
https://www.amazon.co.jp/undoodnu/e/B07MK93FWK

Twitter:
https://twitter.com/undoodnu

note:
https://note.com/undoodnu

タップノベル:
https://tapnovel.com/writers/15521

アルファポリス(漫画など):
https://t.co/dsJrZRgEKC

ベリーショートショートマガジン「ベリショーズ」参加&編集&IT技術顧問:
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07PDJ6QPL

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容