力尽きる

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彼は、震える片方の手を彼女の頬にそえ、過去の思い出に浸るように斜めに輪郭をなぞった。
力の尽きた希望は、彼女に触れることしか赦されなかった。

彼女は彼の夢破れる姿を見て、泣きじゃくる・・・
罪深き二人の物語の筋書きは、元から滑稽な結末になるように仕組まれていたのだろう・・・

しかし、彼は諦めない。
例え、この身が朽ち果てたとしても、錬金術のように命をまた燃やす・・・

彼は最後の力を振り絞り立ち上がる・・・
格好良くない現実に打ちひしがれるくらいなら、中途半端に事が終わるくらいなら、もう一度、あなたのために力を尽くす・・・
その他
公開:19/08/07 22:50

神代博志( グスク )









 

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