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「この指輪、外せよ」
私の左手小指に触れながら彼が囁いた。元カレから貰った指輪をずっとつけているのには理由がある。これは『お節介防止機能付リング』だ。昔、私が元カレの部屋を勝手に掃除した時、大切にしていた模型をうっかり壊してしまった。激怒した彼は私の親切心が暴走しないようにこの指輪をくれたのだった。これはお節介を焼こうとすると電流が流れてブレーキをかけてくれる。今の彼と付き合ってる間も何度も私のお節介を事前に止めてくれた大切な指輪だ。
「…うん」
「俺はお前がお節介でも平気だよ」
「本当に?」
「それだけお前が俺の事を思ってくれてるってことだろ」
「…うん」
「今度一緒に新しい指輪買いに行こ」
「うん」
彼が私の指からスルリと指輪を引き抜いた。
拘束を解かれた私の心がスッキリと晴れていく…。
「早速だけど、私、やってあげたい事が山ほどあるの。これは絶対に、あなたのためになることだからね…」
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公開:19/08/04 15:31
スクー 速度制限おせっかい

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。

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