また君に会いたくて

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僕は単独で素潜りに出かけ、危うく溺れかけた。
そこに現れた可憐な人魚が渚まで導いてくれ、僕は九死に一生を得た。
美しい人魚に心を奪われた僕は彼女が人間に姿を変え、訪ねてくるのを待った。
だが、どうもその気配がない。

無理もない、人間になった人魚の悲劇が海中にも伝わっているのかもしれない。
なら、彼女を忘れられない僕がこの身を人魚界に投じよう。
魔法使いを訪れて、人魚になりたいと言うと、魔法使いは嗄れ声で言った。
「いいとも。お前の脚を尾鰭に変えてやろう。ただし、お前の声はワシがいただく」
いいさ、どのみち海中で人間の声は必要ない。
愛がすべてだ。
僕は渚へ行き、魔法使いの秘薬を飲んだ。


翌日、ニュースが流れた。

―今朝、○○海で両脚をジップロックで密封された男性が救助され、搬送されました。男性は意識を取り戻しましたが、発声器官を損傷しており、事情聴取が困難な状況です。
その他
公開:19/08/04 13:23
スクー ジップロック人魚

こぶみかん( 関西 )

ssの庭に迷い込んだこぶみかん。数々のお話の面白さに魅せられ、通い始めた。
気が付いたら、庭の片隅に挿し穂されていた。
いつか実を結ぶまでじっくり育つといいね。

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