空蝉と蛍の間

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「空蝉ですね」
「い~や、蛍」
また始まった。原稿を広げながら、私は目の保養を兼ねた取材に勤しむ。
古典文学研究会の研究室で、会長の私と会員二名は、秋の文化祭に向け、テーマ展示の企画を詰めている。
今年のテーマは『源氏物語エロス頂上決戦』である。
むろん、至って真面目な考察だ。源氏物語五十四帖のうち、最も性愛耽美に特化した場面はどれか、比較検証と投票で決しようという試み。
「闇夜に残る薄衣一枚。情を通じた後の拒絶。抱き締める恋の形見の儚さ。典雅と情欲と懊悩の結晶ですね」
「これだからムッツリは。中身あってのエロだぜ。ライトアップ御簾越し美人。油断が恥じらいに染まる横顔、最高!」
「浅い浅い。究極の性は想念にあり」
「はぁ!?ボディに決まってんだろ!」
私は関係と描写込みで、野分を推すけど。
我が校の二大美少年、通称『源氏中将』の痴話絡み(※着物コス)。文化祭の前に、夏コミが盛り上がりそう。
青春
公開:19/08/03 23:03
やや特殊趣味系のネタ 皆様は、どの帖推しですか?

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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