ペシミスティックなビール

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頬が紅潮した母が上機嫌になってビール瓶を渡して僕に言った。
「大人になりなさい」
僕は多少の罪悪感を感じつつ、ビールの栓を開けてゴクリと飲んだ。得たいの知れない苦い液体に、体は拒否反応を起こして僕は思わず咳込んだ。周囲はどっと笑い僕も愛想笑いを浮かべた。
早く大人になりたいとおもう心の裏腹に、将来が怖いと思う自分がいる。なんのビジョンも思い浮かばない。浮かぶのはペシミスティックな考えばかり。
僕は無理してまたビールを体に詰め込んだ。やっぱりビールは苦くて喉を焼くようにして胃に流れた。僕がビールを苦いと感じるのは罪悪感のせいだろうか、それとも僕がまだ子供だからなのだろうか。
青春
公開:19/08/04 22:45

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