蝉レンジャー

時計は４時。
奴らが来る。

僕の家は桜並木の途中にあるから、夏になると朝から晩まで蝉の鳴き声が響いてる。

ここに奴らはやってくる。

5分くらい歩いた所にある団地から子供6人、大人3人、悪魔の行進だ。

奴らは
自由に鳴く蝉を無理やり捕まえて、手に収まる程の虫かごに目一杯詰め込むんだ。

捕まった蝉ははとても苦しそうで見ていられない。


だから決めた。
蝉を守る。
２週間しかない命を守らなきゃ。


奴らが来る前に
釣竿を改良して作った、屋根まで届く虫あみで
低い所にいる蝉を驚かして木のもっと上まで逃がす。

僕が必死に網を振ると、
蝉はおしっこをしながら上に飛んでいく。

今日も明日も明後日も、僕は蝉のおしっこを浴びる。