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おじいちゃんが亡くなりました。おじいちゃんっ子だった僕にはつらいけど、これからも頑張って生きます。

僕はこの短い2文を、SNSに投稿した。
おじいちゃんが亡くなったのは、昨日のお昼だった。
病院の窓の外は快晴で、蝉が必死に鳴いていた。
こんな気持ちの良い天気の日に人が死ぬのか。
僕はそう思った。
癌が見つかった時にはすでに手遅れで、延命措置は取られなかった。
その時から、なんとなく死の覚悟はできていた。
しかし僕はSNSの投稿とは裏腹に、前に進める気がしていなかった。

スマホを見ると、先ほどの投稿にいいねが押されていた。
もうこの世にはいないはずのおじいちゃんのアカウントから。
紛れもない死者からのメッセージだったが、不思議と恐怖は感じなかった。
形見のいいね。
僕はそう考えて、これから少しずつ歩を進められそうな気がした。
公開:19/08/02 18:01

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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