ミケの気持ち

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こう暑くなると、予測がつかないほど忙しくなる。カキ氷は冷夏では閑古鳥がなくが、突然「殺人的な暑さ」とか「災害的酷暑」とか。夜になっても気温は下がらず、明けて早朝からも体温以上の猛暑だからたまったもんじゃない。
慌てて仕入れた氷も、冷凍庫に入れる暇もない。「まぁ。売り上げが上がるからありがたい」とはいうものの休むタイミングも難しいくらいだ。
こんな時に、飼い猫のミケが日頃の恩返しに、可愛らしいアルバイトにでもなって助けてくれたらなと思ってもやるせない。そんな妄想夢を夜明けに見たから余計に恨めしく思って、ミケを探すといつも冷気が漏れる冷凍庫の側にもいない。「どうせ、手も貸してくれないんだからな」とひとりごちて顔を上げると、ラッピングされた箱が目についた。
中を開けてみると、その中に
「どうぞ何かの足しにしてください」とメッセージがあり、肉球のある前足が入っていた。

「?…なんだ足じゃねえか」
ファンタジー
公開:19/08/02 08:25
更新:19/08/02 08:33

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