目が離せない!

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とんでもない危険物がやってくる!

それは、小さな男の子の姿をしていた。

その手に大切そうにささげられ、運ばれているものこそ…

特売の玉子、ワンパック88円!

おお落とさないで!

レジから、固唾を飲んで見守る。

慎重に、慎重に、一歩一歩。

けれど、あぁ玉子しか見えてない。

よたよた、危なかしいよう。

いっそ、レジから出て、迎えに行くべきだろうか。

でも、しかし…

その面差しは真剣そのもの。

まぁ思いに反して、ぷるぷるする姿は、いたく愛らしいのだけれど。

頑張って、あと少し、ほらもうちょい…

良し、レジについた!

うーんと懸命に両手をあげ、玉子をかかげる。

それをレジから身を乗り出し、受け取った。

ついに、やり遂げたね!

「偉かったね、よく頑張りました。」

ああ、笑顔がまばゆい。

とてもうれしそう、声まで、弾んで。

「あのね、ぼく、おひとりさまなの!」
その他
公開:19/08/03 18:02
更新:19/08/04 16:07

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