吸引力が変わらないただ一つの空気清浄機

ある会社が、吸引力が変わらないただ一つの空気清浄機を販売した。
ただ、購入者の意見は賛否両論だった。
その理由は、タコ型の空気清浄機だったからである。
うねうねして障害物は避けて通ってくれるのはいいのだが、油断すると猫や犬に足を食べられてしまう。
そんな事が何日も続くと空気清浄機の方も、「このまま奴らに舐められるわけにはいかない。ちょっと焼きを入れに行ってきます」と言いだし、徒党を組んで喧嘩を始めるのだ。
そのせいで帰宅した時には部屋中、タコ墨で真っ黒である。
そこで私は考えた。
空気清浄機のために家を作ろう。そうすれば、彼らも安心して暮らせるだろう。
私の思った通り、空気清浄機は毎日、快適な生活を送っていた。
だが、その話を知った知人は、ちょっとツボに嵌ったらしい。
「なんで、空気清浄機に家を与えているの」
だから、僕は知人に言ってあげた。
「タコ足発電をしているから問題はないのさ」